どんなデザインをロゴに使用するかと考えたときにローマ字を主体にしたデザインを選ぶケースもしばしばあります。ローマ字でロゴ作成をする方法はかなりバリエーションが豊かで、起点にして考えると本当に色々なロゴを作れるということを知っているでしょうか。
この記事ではローマ字ベースのロゴを作るときの考え方とコツを解説します。
ローマ字の活用方法は3つある
ロゴでローマ字を主体にするときには活用方法が大まかに分けると3つあります。1つ目はシンプルにローマ字で会社名やブランド名などを表現する方法です。フォントや色などを工夫してデザインを仕上げることになります。
2つ目はローマ字をモチーフにして形状を大きく変化させてマークに仕上げる方法です。イニシャルなどのいくつかのローマ字をピックアップしてデザインを作ることが多くなっています。3つ目はローマ字そのものをレイアウトやフォントの工夫をすることでデザイン風に仕上げる方法です。
2つ目の方法と違っているのはローマ字は単独で普通に読める形状のままにしておくことです。どの考え方がイメージしている姿に合っているかをまずは考えてみましょう。
シンプルにローマ字で表現する方法の特徴
シンプルに会社名やブランド名などをローマ字表記するロゴは顧客にとってとてもわかりやすいストレートなイメージを与えるのが特徴です。さりげないサービスを提供してくれる、いつも傍にいてくれると落ち着く、理解しやすいといった印象を持ってもらえるでしょう。
複雑で高度なサービスよりも単純で素直に受け入れられるものが良いという消費者から喜ばれます。典型的なのが無印良品で、MUJIというシンプルな表現でブランドコンセプトを体現しているでしょう。経営コンサルティング会社のチャレンジパートナーズもシンプルにChallenge Partnersと表記しているだけです。
ストレートな戦略で経営課題を解決してくれるというイメージを持ってもらえます。ただ、シンプルとはいってもローマ字のフォントによってかなり印象が変わります。先の例では無印良品の場合にはブロック体のがっしりとした太目のフォントを利用していて存在感を醸し出しています。
それに対してチャレンジパートナーズでは丸みを帯びたフォントにしてフレンドリーで気軽に相談できる雰囲気を出し、Challengeだけ太文字にすることで挑戦を重視することを示しています。シンプルだからこそちょっとした細工も見る人にストレートに働きかけてくれるのが特徴です。
大きく形状を変化させてマークにする方法の特徴
ローマ字の形状を大きく変化させてマークにする方法はかなりのデザイン力とセンスが必要とされますが、うまく作り上げられるとワンポイントのマークでこの会社だ、このブランドだとすぐに認識してもらえるようになります。
リスクが伴うものの、成功したときには大きな効果が出ると期待できるのが魅力です。どんなデザインに仕上げるかによってインパクトにもかなり違いがあるので、発想力勝負のロゴ作成の仕方だと考えられるでしょう。例えば、ピーコマースのロゴであればP-COMMERCEの頭文字を取ってPとCを円のようにして組みあわせています。
そのモチーフに顔を埋め込むことによって皆に笑顔をもたらすサービスを提供していることを示しつつ、柔らかな印象を与えて相談しやすい雰囲気を生み出しています。AndMeshでは製品のコンセプトに基づいたロゴ作成をしていて、同社のエラストマーのイメージを盛り込んでいるのが特徴です。
「&M」という組み合わせで丸みをはっきりとさせた編み物のような感じのデザインにしています。AndMeshはApple製品向けのケースを主に製造販売している会社で、素材にこだわっている様子をはっきりと見せるのに有効な手段としてロゴが活用されています。
ローマ字をそのまま使ってデザインに仕上げる方法の特徴
ローマ字をそのまま使ってデザインに仕上げるというのがイメージしにくいかもしれませんが、意外に色々なところで使われています。ローマ字だけで仕上げるのと同じくらいシンプルな印象を与えることもできる一方、文字を装飾してデザインしていくとどんな表情のロゴにも変化させることが可能です。
例えば、ネイルサロンのNO NAILではNo Nailというシンプルなローマ字に加えて、NNという二文字のイニシャルを並べて丸で囲っています。とてもシンプルできれいなデザインをしてくれるのだろうと印象付けられる仕上がりになっているロゴです。
心なしか高級感を醸し出すような仕上がりになっているのはNのとがり具合と円の丸さが調和して存在感を出し、モノクロにもかかわらず確かな印象を残せるようにできているからでしょう。THE SKY WEDDINGもS、G、B、Wというローマ字を円の中にならべて線で区切っただけのとてもシンプルなデザインのロゴを採用しています。
THE SKY WEDDINGという文字も同じフォントで添えていますが、ロゴ自体の存在感はそれほどあるわけではありません。しかし、THE SKY WEDDINGはフォトウェディングスタジオなので主役は自分たちではなく新郎新婦だというスタンスをはっきりと示すロゴになっています。
実はBとGは新郎新婦という意味があり、社名のイニシャルのSとWを組み合わせることでロゴが作り上げられているのです。モノクロで味気ないように見えながら、ウェディングシーンにさり気なく登場してきても差し支えない仕上がりになっています。
複数のコンセプトを組み合わせよう
これらの三つの考え方は組み合わせて使うこともできます。既に紹介したように、例えばTHE SKY WEDDINGであればシンプルな社名のローマ字表記に加えてローマ字そのものを生かしたデザインを組み合わせています。
ピーコマースも同様で大きく変化させた自社のイニシャルでマークを作り、P-COMMERCEという文字をそのまま添えて仕上げているのが特徴です。このように二つのパターンを組み合わせるとまたバリエーションが豊かになります。
その組み合わせ方次第で見た人に与えられる印象も大きく変化するので、何を伝えたいかをはっきりとさせてからデザインに取り掛かるのが肝心です。
ローマ字の活用範囲は幅広い
ロゴ作成でローマ字を主体にしようという方針を立てたとしてもかなり活用範囲が広いことがわかります。シンプルに使うか、大きく形状を変化させてマークにするか、ローマ字に意味を持たせてうまくデザインするかをよく考えましょう。
組み合わせ方も自由自在なので、どんな印象を与えたいのかをよく考えて選ぶのが大切です。